直読直解のすすめ
英語のリーディングにもリスニングにもライティングにもスピーキングにも全てにおいて大事なことがある。
それは、直読直解、英文を頭から理解して英文の語順通りに消化することだ。これは、TOEICに限らず、いろいろな参考書に記載されている。
例えば、次の英文
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
I had a pizza for lunch, which I bought yesterday.
を日本語に直してから理解しようとすると、
私は昨日買ったピザをお昼に食べた。となり、
①→(⑤⑥)→⑧→⑦→③→②→④の順で理解することになる。この時の脳内は①から⑧まで順番に読んで、⑦に戻って、また③に戻って②→④、と行ったり来たりしてしまい、どうしても無駄が生まれてしまい、脳への負荷が大きくなり眠くなる。
リーディングであれば返り読みの原因だし、リスニングであれば①→⑧まで行って戻ってる最中に次の文が聞こえるので脳内処理が追いつかない、ライティング、スピーキングだって変な語順で書いたり喋ったりすることになる。
上記の英文の場合、
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
私は食べた、ピザを、お昼に、そのピザは、私が買った、昨日。
という順序で理解すれば①→⑧まで順番に理解することになる。大事なのは、和訳することと理解することは別物だということ。理解するために和訳する必要は必ずしもないし、頭から理解することが、ネイティブの感覚につながるのだと思う。初めは順序を変えた日本語を介して理解して、そのうちに英文だけで理解できるようになるはず。
但し、複雑な構文や語彙になってくると難しい。例えば、
We must launch a criteria in which everyone is equally treated.
のin whichを頭から理解するのは、なかなか難しいと思う。in whichにあたる日本語がないからだ。あえて置き換えるなら、
我々は設置しなければならない、criteriaを, そのcriteriaの中でどんなことがあるかというと、誰しもが平等に取り扱われる(criteria)。
のような感じか。難しいけども継続することで順番通り消化・理解できるようになるし、それはRLWSの4技能全てに良い影響をもたらす。日本の英語教育はどうしても和訳偏重なので(今はどうかわからないが)、和訳から自由になり、理解重視のアプローチに早めに切り替えていくことが大事なのだと思う。
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英語以外の言語の習得
英語に飽きたら、スペイン語やイタリア語などのラテン語系言語に触れるのも面白い。
昔勉強したのでほんの少しだけイタリア語が分かるが、同じアルファベットを使う言語でも言語が持つ力点が違って興味深い。
ゲルマン系の英語は配置の言語(SVOなど)であるのに対し、ラテン語系は活用に重きを置いているようだ。
言語の習得はまた楽器の習得に似ている。ギターしか弾けない人がピアノの練習をすると、弦楽器、鍵盤楽器とはどういう楽器であるか、またそれぞれの音楽へのアプローチ法が違うことに気づく。そして、初めに習った楽器についての見方が変わり、より理解が深まる。
きっと我々日本人は英語を習うことで、日本語の理解も深まっているのだと思う。
英検1級合格後の次
晴れて英検1級に合格したのち、さて次は何を目標にしようか、と考えた。
- TOEFL, IELTS, キャンブリッジ英検など難易度の高い試験
- アマプラで海外ドラマや映画を英語字幕または字幕なしで見る
- 喋る力を引き上げて通訳レベルにする
等々考えたが、TOEFLなどは留学を目標にした高校生がやるものだろうし、試験に時間をかけるよりは自分の専門性を磨いた方が良い、とのYoutubeがあったので止めにした。そこでふと思ったのは、英検は1級だがTOEICは(当時)昔985点取ったきりじゃないか、キリが悪いので満点まで行っちゃうのもいいんじゃない?ということ。
985点をとってから7,8年たっており、問題形式も変わっていたので問題集で形式に慣れることから開始。英検の勉強でリーディング力は格段に上がっているので、時間は10分近く余る。そのうちにとれるだろうと何度か受験し、4度目の受験で目標達成。
RPGでストーリー進行により消滅してしまう宝箱の中に貴重なアイテムが入っていることがある(ex. FF6封魔壁への洞窟大階段内宝箱アルテマウェポン)。
「初回プレイでこれを取り逃してクリアしてしまった、だからもう一度最初からプレイして、今度はあのアイテムを忘れずに取りにいこう。」
そんな気持ちで挑んだTOEIC990奪取プロジェクトであった。
英検1級2次スピーキング対策
英検1級取得については一筋縄ではいかなかった。1次は一発で受かったものの、初めて受けた2次スピーキング試験は素点4,5,6,7と散々な結果だった。
事前にしたこととしては、ライティングで「最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇」を使用し、これがスピーキングでも使えそうだったので、書いた作文30個を読み上げてスマホに吹き込む、聞いて内容を覚えていえるようにする、といったことをした。これがダメだった。
不合格判定後、スクールの無料体験やYoutubeを参考に、何が悪かったか、どうすれば正しい方向に進めるのかを考えた。その結果わかったことは、
- 英検2次はスピーキング試験であり、それは「話す」力を測定する試験。「覚える」力を測定する試験ではない。
- スピーチを組み立てるには、ネタをストックすることが必要。ネタのストックは暗記して読み上げることとは異なる。要素を理解しておき、口に出せるようにしておくことが必要。
- スピーチの説得力を増すには、exampleが大事(重要!)。
- 英語を話すとは、脳内の考えを英文にして出力すること。アイディアを英語に変換して話すことについて、慣れないといけない。
- ネイティブ発音よりも、抑揚と声の大きさ、はっきりさが大事。
いくら英作文をしたものを丸暗記しても、ほぼ間違いなくそのトピックは本番で出題されない。それであれば、決め打ちするのではなく、汎用性の高いネタを仕込んで幅広く使える情報をストックしておくべき。
このために、私は日経新聞をチェックし、英検に出てきそうなトピック記事があればポイントをノートに英文で記載し、口で言えるようにする、という練習をした。本だと情報が古いので△。ネット記事でもいいが、やはり新聞は背景も含めて書いてある場合が多いので有用。具体例をストックしておけば、スピーチの説得力も増す(例えば、移民が1%増えればGDPが1%増える傾向がある、だから移民受け入れは賛成する、など)。
さらに、英文表現を口から出やすくするために、「最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇」を使い、左側の日本語部分をさっと読む→自分の英語で話す訓練をした。
また、英検2次の質問をプールし、自分なりのスピーチも行ったほか、Value Englishという格安ネット英会話サービスでレッスンも受けた。格安なのに質がべらぼうに良く、素晴らしいサービスであった。何度もフィリピン人講師に面接をやってもらい、場慣れすることができた(初めは汗をだらだらとかきながらスピーチした💦)。
そうして挑んだ2回目の2次、1回目よりもかみ合ったスピーチをすることができ、またInteractionもうまいこと意見が言えた。結果は素点8,9,9,8で合格、晴れて1級ホルダーとなれた。
この経験によって、TOEICの勉強では培うことができない力を手に入れ、スピーキング力を一段上げることができたように思う。
この記録が、これから英検を受ける方やスピーキング力を上げようとしている誰かの参考になれば幸いです。
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TOEIC985→990 方法論
TOEIC985点を取得してから990点を取得するまで10年かかった。この間勉強しなかった時期の方が多く、実質的には英検1級に1年、TOEICの勉強に1年弱の時間をかけた。
700点、800点から900点オーバーを取得する方法は良くネット上に書いてあるが、985→990までの方法論はあまり見かけないので、記録しておこうと思う。
まず、新しい参考書や問題集をパブロフの犬のように買い続ける必要はない。
今までに買ったものを回して勉強するべき。
おそらくこのレベルになると相当数の問題集を持っているはず。そしてリスニングは何度も満点を取っている人が多いのでは。持っている問題集の中で、公式問題集や精選模試など、本番に近いもので一度解いたものについて、迷った問題、間違えた問題にチェックを付けておく。ちょっと時間をおいて、それらの問題を解きなおし、迷わないレベルにもっていくのが大事。
一つの問題集を全問迷わないレベルにする、知らない語彙を無くす。これは言うのは簡単で、実はなかなか難しい。初回で解いたときになるほどーと思っても、1か月たつと忘れてしまうものだ。
人によっては毎日1模試とか、全問解くべきとか言う人がいるが、可処分時間の多い学生ならともかく、社会人、家庭を持ったそこそこの年代の大人は厳しいだろう。勉強時間を多くとることが目的ではないし、ほかにやらないといけないことなんて山ほどあるはずなのだから、質を濃密にするべき。
あと重要なのは、リーディングパートは本文・設問全てを読む。
TOEICは時間との戦いになるので、地道にリーディング力をつける必要がある。雑誌や小説、ニュース、新聞など、とにかく英文を読むことを習慣にして、直読直解、頭から理解するようにする。目を早く動かすとかそういうことはいいので、丁寧に読むことを心掛ければ、自然に読むスピードは上がるはず。
制限時間10分ぐらい余らすことができれば理想。この10分の間に、迷った問題の見直し、マークミスがないかを確認する。
そして、正解の根拠を拾いながら読んでいく。
リーディングパートは大抵1問落とすと490点になってしまう。丁寧に読みつつ、失点しないよう、ここにこう書いてあるからこれが絶対正解だな、と思いながら解いていく。正確さを重視して安全運転で。
最後、数を打てば当たると信じる。
安定的に980~985をマークできる実力があれば、何度も受ければそのうちに満点に達するはず。
こんなところかな。最後の最後だけど、985→990点になって何が変わったかというと、TOEICという試験に対する感度が上がったのみで、英語の実力的には何も変わっていない。言ってしまえば、あんなに時間をかけて無駄だったなあと思うこともある。
800点後半か900点ぐらいの点をマークしたら卒業してほかの道に進むのが正しいTOEICとの付き合い方と思う。
ただそれでも、点数が出る以上は、すでに高いスコアをとってしまった以上はもう少し、もう少し、と高みを目指したくなる気持ちもわかる(し、自分もそうだった)ので、そういう方にこの記事が参考になればよいなと思います。
TOEIC何点?と聞かれて、「満点」と答えられるのはいい気分なので。
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TOEIC900点でも喋れない?
TOEICが高得点でも英語喋れないから意味ない、という人がいる。
個人的にはそういう人はあまり見たことがない。それなりに喋れるけど、現場経験を経てバンバン話せるよ、という人に比べたら話せない、くらいでは。
TOEICはReading & Listeningの試験なので(今はSW試験もあるが)Speaking & Writingの力は測れない。でも、読めないし聞けない言葉は喋れないだろうし、高得点者は話すための素地は持っているものと思う。
話すための力を鍛えれば、開花していくのではないだろうか。
英語を話すという行為はドラえもんがポケットの中から秘密道具を出す行為に似ている。ポケットの中を探してあれでもないこれでもない、ポケットが壊れちゃった、と言うドラえもん。英語を話せるようになるためにしないといけないのは、
- ポケットの中に使える秘密道具(言葉)を整理整頓して収納していくこと(語彙)
- ポケットの中の秘密道具を外に出す練習(スピーキングの機会を得る)
ことだと思う。
一方、TOEIC満点/英検1級保持者として、TOEICには自身相当の時間を割いたがListening/Reading試験に長期間執着するのは効率的でない(不健全)に思うのも確か。
やはり英語は喋れてこそ英語、という側面があるので、平行して英検などSpeakingを測る試験の勉強も早いうちからやっておいたら無駄がなかったよな、スキルマップがいびつにならなかったよなと感じる。
実際TOEIC程度の語彙では洋書を読むには至らないし、Writing/Speakingはどうしても場数を踏まないといけないので、TOEICばかりやっていてもなんだかなあと。
英語を勉強している自分をメタ的にとらえて、歪なことをしていないか時々チェックするのが大事なのでは。